最近、インテリアやファッションのおしゃれな店舗、センスの良い人々の家で石が飾られているのを見かけることが増えました。実は、石を愛でる文化は古くから存在し、現代のライフスタイルに再び取り入れられています。このスタイルは、シンプルで自然な美しさを取り入れることを目的としており、多くのアーティストやスタイリストたちにも影響を与えています。

アーティストと石：自然の美を求めて

ミニマリズムの先駆者として知られるドナルド・ジャッド（Donald Clarence Judd）や、20世紀のアメリカを代表する女性画家ジョージア・オキーフ（Georgia O'Keeffe）は、自然の形や素材の持つ美しさを作品に取り入れることで知られています。彼らは、石を拾って家に飾ることで、自然の美しさを日常に取り入れました。ドナルド・ジャッドのテキサスの家や、ジョージア・オキーフのニューメキシコの家は、その一例です。

ドナルド・ジャッドの自宅兼事務所に置かれている石（引用：domino）

ジョージア・オキーフの住まいにも多数の石が（引用：New Mexico）

クリエイティブのインスピレーションに

実際に、メンズファッション誌「ポパイ」「メンズノンノ」「ウオモ」などで活躍するスタイリスト、二村毅さんは、オキーフやジャッドの影響を受けて、自宅に石を飾るようになったといいます。また、クリエイティブディレクターの南貴之さんや、石川県金沢市にあるインテリアショップ「Cazahana」のオーナー、宇佐見透さんも石を集めて飾っています。彼らは石をインテリアの一部としてだけでなく、クリエイティブなインスピレーションの源としても活用しています。

二村毅さんがディレクションを手がけた08bookの立ち上げ時の写真（引用：UOMO）

古来からインテリアとして使われてきた石

日本には古くから「関守石」という文化があります。これは、美しい形や模様の石を選び、庭や通路に配置して楽しむというものです。現代のインテリアデザインにおいても、この関守石の文化が取り入れられ、石の持つ自然の美しさを楽しむことができます。また、関守石は単に装飾としてだけでなく、道を防ぐ手段としても使用されてきました。

現代の包みをデザインするブランド「HOW TO WRAP_」が制作する関守石（引用：Instagram）

さらに、石の文化としては「水石」もあります。美しい石を水に浮かべ、その姿を鑑賞するというこの文化は、自然の美しさをシンプルに楽しむ方法として現代でも人気があります。これらの伝統的な要素が、現代のインテリアデザインに新たな命を吹き込んでいます。

水石・山形石（引用：Wikipedia）

まとめ

石をインテリアとして取り入れるスタイルは、自然の美しさをシンプルに楽しむ方法として多くの人々に受け入れられています。関守石や水石といった日本の伝統的な要素が、現代のデザインに新たな命を吹き込んでいます。芸術家やスタイリストたちの影響もあり、このスタイルはますます注目を集めています。石を飾ることで、自然とのつながりを感じながら、洗練された空間を作り上げることができるのです。