癒しと安定をもたらす新たな形の癒し

皆さんは「ペット・ロック」をご存知でしょうか？これは1970年代にアメリカで大流行した、石をペットとして扱うユニークな玩具です。ペット・ロックは、石をパッケージに入れ、飼育方法が記載されたマニュアルと一緒に販売されていました。多くの人々にユーモアと癒しを提供したこの石が、驚くべきことに、近年で再び注目を集めています。今回は、現代の忙しい生活の中で、ペット・ロックがどのように癒しと安定をもたらしているのかをご紹介します。

犬のように「石」をペットに

ペット・ロックは、1975年にアメリカ人のゲイリー・ダール (Gary Dahl) によって生み出されました。これは、ペットの飼育に伴うストレスや出費を避けるため、石をペットとして扱うというユニークな玩具です。ペット・ロックは、通気孔のあるキャリーケース、石を置くための布や藁、血統書、そして飼育方法や訓練方法を記載したマニュアルと共に販売され、数百万個が売れました。このシンプルでユーモアあふれるコンセプトは、当時多くの人々に癒しと笑いを提供しました。

現在も販売中のペットロック（Amazon）

ペット・ロックがもたらす効果

ペット・ロックを持つことで、具体的にどんな効果があるのでしょうか？

• ストレス軽減と癒し：ペット・ロックは手軽に持ち運べ、触れることでリラックス効果が期待できます。石の自然な質感や冷たさが心地よさを提供し、ストレスを軽減すると言われています。

• 感情の安定：ペット・ロックは持ち主のパートナーになることで、持ち主に安らぎを与え、感情の安定を図ります。日常生活の中で小さな喜びを見つける助けになると言われています。

• 創造性の刺激：ペット・ロックは、絵を描いたり目玉などを貼り付けたりと、カスタマイズすることができます。それらの創作活動を通して創造性が刺激されるかもしれません。

これらの効果は研究をもとに実証はされていないものの、多くの人がペット・ロックから効果を感じているようです。

カラフルに自作でアレンジされたペットロック（引用：Supersimple）

韓国でのペット・ロックブームの再燃

2021年頃から韓国で「伴侶石」が人気を博し始め、SNSで多くの若者がペット・ロックをシェアしています（Forbes：韓国で生きたペットの代わりに「石」を愛玩する若者たちが増加している）。特に人気アイドルグループのメンバーが自身の石を公開したことで、さらに注目を集めました。韓国の長時間労働社会において、ペット・ロックはストレス軽減の新たな方法として愛されています。

さらに、2024年3月、韓国・聯合ニュースは「過労の韓国人は『ペット・ロック』と共に休息を取っている」と報じました。石の変わらない静けさが心の安定をもたらすとされています。高麗大学のキム・ジングク教授は、「石は変わらない。それが人々に安定感を与える」と説明し、東アジア社会で古くから愛されてきた「水石」文化が背景にあると指摘しています。

販売されている愛玩石の例（引用：Forbes）

日本でも発売されていたペット・ロック

実は、日本でも1977年（昭和52年）にトミー（現・タカラトミー）から発売されていました。今はトミーが発売している商品は手に入らないものの、Amazonではペット・ロックが売られています（参照URL）。藤子・F・不二雄によるSF短編漫画『オヤジ・ロック』でも取り上げられており、作中では「飼い主が勝手に感情移入して満足している」と述べられています。

まとめ

ペット・ロックは、シンプルながらも大きな癒しをもたらす存在です。石という素材の持つ冷たさや質感が、触れるだけでストレスを軽減し、心の安定をもたらします。1970年代に一世を風靡したこの玩具が、現代の忙しい生活の中で再び注目される理由は、変わらない静けさと安定感にあるのでしょう。韓国や日本での人気の再燃も、その効果を裏付けています。ペット・ロックが私たちの心に与える安らぎは、時代を超えて必要とされ続けています。